「境界明示義務」は売却時に売主が負う義務です

土地
こんな方に読んでいただきたい
  • 土地の売却を考えている方
  • 隣地との境がはっきりしていない方

土地を売却する際には、隣接する土地との境界を明らかにしておかなくてはいけないことをご存知でしょうか?

境界が明らかでないと基本的には売買ができません。
境界が不明確でも覚書等により売買できるケースもありますが、後にトラブルとなる可能性があります。

この記事では、境界明示について学び、境界の確認方法を知ることができます。

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トラブル回避のためにする売主の義務

境界明示義務は売主?買主?

通常の売買契約書では、「境界の明示」という条項が入っています。
この条項では、「売主は、買主に対し、・・・現地にて境界標を指示して境界を明示します。」などのような記載となることが多いです。

つまり、境界明示義務は売主にあります。

通常は、境界明示義務は対象土地の引渡しまでに行われます。


買主は、重要事項説明でも説明がありますが、実際に現地に行き境界がはっきりしているか確認するようにしましょう。
現地でわからなければ、仲介業者に聞いてみましょう。

なぜ境界明示義務があるのか?

家を建て替えたり,あるいは新しく塀や垣根をつくろうとしたときに,土地の境界がはっきりせず, 隣近所の方と争いになることがあります。このようなトラブルは,土地の境界を明確に示す境界標が 設置してあれば防ぐことができます。

法務省:土地の境界トラブル防止より

境界標を設置することは5つのメリットがあると言われています。

境界標の5つのメリット
  1. 境界問題の予防になる
  2. 財産の侵害防止になる
  3. 売買や相続が迅速に行える
  4. 正確な地図の基礎になる
  5. 不動産登記制度の充実につながる

自分の財産を守るため、トラブルを防止して安心して売買をするために、しっかりと境界標を確認しておきましょう。

境界明示の確認方法

境界明示とは、どうやって確認すれば良いのでしょうか?
土地の境の確認方法をお伝えします。

境界標

境界標は、隣地の境にある杭や金属標のことです。
十字や矢印によって、境界点を示しています。

(境界標の設置)
第二百二十三条 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
(境界標の設置及び保存の費用)
第二百二十四条 境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。

民法 223条 224条

境界標は、隣地の所有者と共同の費用で設置し保存します。

公図や地積測量図

公図とは、法務局に備え付けられている地図です。
主に、土地の地番や位置・形を確認するために使用します。
公図は精度のよいもの(14条地図)と、あまり精度のよくないもの(地図に準ずる図面)があります。
14条地図の場合は、位置や形の正確性が高く境界を一定の誤差の範囲内で復元可能です。

https://www.moj.go.jp/content/001267643.pdf より一部拡大

地積測量図は、土地の測量の結果を示す図面です。
最近の測量図には、境界標の明示がされています。
全ての土地で地積測量図があるとは限りません。

公図や地積測量図は法務局にて誰でも取得できます。
手数料(地図等情報)
 書面請求 450円
 オンライン請求・送付 450円
 オンライン請求・窓口交付 430円

境界確定測量

土地の境界をはっきりさせるためにする測量のことを境界確定測量といいます。
隣地所有者と立会い、境界をはっきりさせた上で、この測量に基づいて作成された図面を境界確定図といいます。

境界確定図には、境界標の明示がされています。

筆界特定制度

法務局が行っている筆界特定制度は、土地所有者等の申請により登記官が外部の専門家の意見を踏まえて公の判断として筆界を特定する制度です。
筆界特定制度は裁判ではないため、筆界トラブルを早期に解決することができます。

筆界特定の結果は、登記記録として残ります。

土地家屋調査士は、外部の専門家である筆界調査委員を輩出しており、筆界特定の手続についても代理することができます。

土地を売却するために必ず境界明示を確認しよう

これから土地の売却を検討している方に向けて、境界明示義務を説明しました。

  • 境界明示義務は売主が負う
  • 境界明示でトラブルを防止する

もし土地の境界が不明な場合は、土地家屋調査士にご相談ください。
境界標は土地家屋調査士が設置することができます。

土地の境界がはっきりすると、次の所有者も安心です。
「そういえば境界杭があるとは聞いていたが見たことがない」では後々困ります。
今一度、土地の境界標があるか確認をしてみましょう。

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